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台湾修学旅行

台湾に修学旅行に行くことなったらゼヒ知っておいていただきたいことを台湾現地からお伝えしていきます

いただきますとごちそうさま

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 台湾人はみんなが集まって食事する際は、全員揃ってからとか、目上の方が来るまでとか遠慮というものをせずに、掛け声もなく、いきなり食事を始めることが少なくありません。食べ終わってもそのまま黙って席を立つことも普通です。
 では台湾の言葉で「いただきます」「ごちそうさま」に当たるものはないのかと言われたら、「いちおうある」と答えます。「いただきます」は「開動了(カイドンラ」、「ごちそうさま」は「吃飽了(ツーパオラ)」という言い方があるにはありますが、ドラマの中以外、現実ではめったに言うことも聞くこともありません。最近聞いたのがまさに日本からの修学旅行で台湾に来た高校生や中学生が発するたどたどしい「開動了」と「吃飽了」だったりするくらいです。なお「吃飽了」は「食べてお腹がいっぱいになりました」という意味であり、食物そのものや生産者、料理を作った人への感謝の気持ちは込められていません。ですから食事をおごってもらったり家に呼ばれて食事を振る舞われた時などは「謝謝招待(シェーシェチャオダイ)」が「ごちそうさま」の挨拶がわりになります。

 日本では教育の意味も含めて、全員揃っての「いただきます」「ごちそうさま」にこだわるところも多いようですね。毎食のいただきますとごちそうさま係を決めておく学校さんも多いです。選ばれた人は何か一言(今日のできごと、これからの日程、料理の内容に絡めたことを)述べてから、「いただきます」と発することが圧倒的に多いです。これを決めておかないで当日その場で決めると恥ずかしがったり遠慮したりで料理が冷めます。また話す内容も決めておかないとやはり無駄な時が過ぎて料理が冷めてしまいます。台湾の人は料理が冷めてから食べることを異常なまでに嫌います。油を使った料理が多く、冷めるとまずくなるのが大きな理由ですが、そもそも台湾人は冷めた弁当をそのまま食べず、温めないと食べられない人種だと思ったほうがいいでしょう。
 ですから料理が冷めるような行為はレストランの人々のおもてなしの心を無にすることになるので控えましょう。例えば、最初のクラスがバスで到着してすぐに全体の料理を出させる。→最後に揃った時には冷めてしまいます。料理が来てから今後の日程の説明、あるいは説教。→生徒さんは目の前の料理にしか意識が集中していません。いろんな意味で無駄!レストランのスタッフたちの、日本のお客様に出来たてアツアツのものを召し上がっていただきたいというおもてなしの心を、どうか汲んでいただいた上で、「いただきます」とおっしゃていただけたら、その言葉は例え日本語でも作ってくれた人、運んでくれた人たちに届くはずです。

 

台湾の環境政策

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 みなさんが修学旅行で台湾に来られる際、関係してくると思われる台湾の環境政策について挙げていきます。

 まず、ゴミの捨て方です。テロ事件がほとんどないと言っていいくらいの治安の台湾では、ゴミ箱がけっこうまだ設置されています。家庭ゴミを捨てる人が増えたゴミ箱は撤去される場合もあります。ゴミ箱は台湾国語では「垃圾桶(ラーサートン)」です。「垃圾」は中国大陸では(ラージー)と発音しますので、通訳アプリなどで(ラージー)と発声させたら笑われるかもしれません。ゴミ箱は主に2種類あり「一般垃圾」「資源回收」とあります。前者はティッシュや菓子の包装など一般的な可燃ゴミを入れます。後者はリサイクルできるもの全般です。上の画像のように細かく別れているところもあります。「紙類」はそのままでわかりますね。「鋁罐」はアルミ缶、「寶特瓶」はペットボトル、「玻璃」はガラス、塑膠はプラスチックのことです。

 コンビニやスーパーマーケットでのビニールのレジ袋はだいぶ前から有料でした(1〜2元)が、今年からその範囲が拡大し、今まで無料だった屋台のテイクアウト用袋やタピオカミルクティーなどを売るドリンクスタンドの小袋も有料となっています。プラスチックのストローも今後廃止に向かっていくことになりました。

 台湾の寺・廟では長い線香を何本も束ねてお参りをするイメージがありましたが、もう過去の話。行天宮ではすでに香炉を撤去し、線香を廃止しました。龍山寺も昨年から香炉は一箇所のみに集約し、一部の人だけが一本のみの線香を捧げてお参りするようになり、将来的には廃止になるようです。金紙(冥紙)というあの世のお金のような物も今までは各寺・廟で燃やしていましたが、今は自治体ごとに回収して供養しながら焼却処分するようになっています。

 ※2020年4月現在、台北市龍山寺も境内すべてで線香を使った参拝が停止されました。

 車も3分以上停車する場合、エンジンのアイドリングが罰金を伴う禁止事項になっています。ですからとある観光地でクラスのみんなが降りて見学中、具合が悪い人が車内に残って、ずっとエンジンをかけてクーラーに当たっているということはできませんのでご了承ください。

犬猫

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 台湾に来ると、街のあちらこちらに犬が寝っ転がっていたり、徘徊しているのを見かけることでしょう。野良犬は中国語で「流浪狗(リュウランゴウ)」といいますが、街中の犬たちは首輪が付いていなくてもどこかの家か店で飼われている飼い犬である場合が多いです。
 それにしてもおとなしい犬のなんと多いことか。人を噛むなんてしないことはおろか、吠えかかる犬だってほとんど見たことがありません。うちの祖父いわく、昔は一部犬肉を食することがあったそうで、その場合、うるさい犬から始末して食べてしまったそうで、おとなしいワンちゃんのDNAだけが残ったんじゃないかと思ってしまいます。そんなにおとなしいんじゃ番犬の役を果たさないと思われるかとしれませんが、都市部のほとんどの住民は一戸建てではなくマンション住まいですから吠えるのは都合が悪いのです。それでも郊外に出れば農家や工場の入り口にはしっかり番犬がいて、ヨソモノが近づくと果敢に吠えて任務を遂行しています。

 猫は台北の街中ではあまり見かけませんが、淡水や九份といった郊外の観光地ではわりとよく見かけます。ホウトンというかつての炭鉱町は猫が多く、猫で町おこしをしているくらいです。

 さて、日本の生徒さんがこうしたおとなしい台湾の犬猫を見て、撫でようとしたら、私たちは注意します。5年くらい前でしたら、「何年も洗ってなくて汚くてくさいよ」という程度でしたが、今ならこう言います。「台湾には狂犬病があるよ。」

 そうなのです。残念ながら台湾は狂犬病発生地域になってしまっているのです。長らく日本同様、狂犬病未発生地域だったのですが、野生動物のイタチアナグマハクビシンに感染例が報告されるようになってしまいました。狂犬病と見られるこうした小動物が人間や飼い犬に襲いかかったケースもありました。まだ感染した犬猫が人間を襲った事例はありませんが、放し飼いが多いことが問題で、自然界のどこかで感染小動物と放し飼いの犬猫が接触していないとも限りません。

 ですから、生徒さんには台湾ではどんなにかわいい犬猫がいてもある程度の距離から見たり写真を撮るのにとどめ、必要以上に接触・接近しないよう注意喚起をしたほうがいいでしょう。

 それから街中では放し飼いの犬の落とし物(=糞)を踏まないように要注意です。うっかり踏んだ靴でバスに乗り込もうものなら、生徒、先生、添乗員、ガイド、ドライバー…全員が不幸です。

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再開です。

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 夏の間、ブログをお休みしてしまいましたが、また台湾修学旅行シーズンを前に再開したいと思います。

 この頃、日本では天災が相次いでいます。早速関空から来られるはずだった高校さんの修学旅行が中止になるなど影響が出ています。
 先ずは水害や地震で亡くられた方々に深く哀悼の意を表します。ご遺族、被災された方々にも心よりお見舞い申し上げます。
 
 例年では新学期早々の9月上旬に修学旅行など考えられなかったのですが、台湾を希望する学校さんが増えに増えて、ハイシーズンの10〜12月は飛行機の座席もホテルの部屋も取りにくくなっているのが現状です。

 ここ数年は朝鮮半島情勢の悪化で、韓国への修学旅行を恒例としていた学校さんが台湾に急遽変更していたケースもありましたが、南北及び米朝首脳会談を経て、安全と判断され韓国に戻したケースもあるようです。グアムも同様の事由で回避しなくなる学校さんも出るかもしれません。

 台湾は今年台風の被害は例年より少ないほうですが、それでも南部では住宅浸水といった水害もありました。私も先週台南へ赴き、主要観光地を回って来ましたが、水害の影響はありませんでした。地震のあった花蓮も概ね復興して観光客が戻ってきています。

 やはり旅行も安全が第一です。無理のない日程で、いろんな事態を予想し、対策・準備をしっかりし、我々現地スタッフとも連絡を密にして情報を共有・同期化し、生徒さんの一生の思い出となるような楽しい修学旅行を作って参りましょう!

雨天

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 旅行中ずっと晴天だったら言うことはないですよね。忘れ物や迷子などのトラブルは対策をしっかりすることである程度防げるでしょうが、天気だけはどうにもなりません。雨が降ると降らないでは旅の印象も別物になってしまいますね。

 多くの高校さんが秋に台湾にいらっしゃています。9〜11月上旬は一年の中で比較的天気が安定しているからです。ところが11月後半〜12月上旬に秋雨前線が居座った場合、連日雨と言うことも起きえます。

 台湾にも梅雨があります。日本の沖縄とほぼ同時期に梅雨入りします。大体日本のゴールデンウイーク後から6月にかけてが梅雨です。ただ日本の梅雨空のようにずっと朝から夜までジトジト降っているのではなく、朝は真夏のように蒸し暑く午後から雲が湧いて雷を伴う俄雨となることが多いです。夏季〜初秋は台風が厄介です。毎年2〜3個の台風の直撃を受け、一般の旅行者の中には飛行機が飛ばず帰れなくなる方も。

 修学旅行が雨の少ないシーズンであっても、必ず雨対策はしておきましょう。折りたたみ傘はもちろん、九份地区に行かれる場合はレインポンチョやレインコートもあった方が行動が楽です。タオルや着替えもあったほうがいいですし、カバンの中身もスマートホンなど電子機器が濡れないようドキュメントホルダーに入れておくといった防水対策があれば心強いです。使い捨てのレインコートを持って来られる生徒さんもいますが、耐久性が心もとないようです。一回着脱するだけで破れ、裏面も濡れて二度目に使えなくなる。それで捨てればゴミになってエコでないですね。場合によっては4日間ずっと雨天で連日雨対策が必要ということも多々起きているので、ちゃんとしたレインポンチョ(かさばらず耐水性に優れたものも増えてきました)を荷物に入れておくと心強いです。日本国内での移動時に雨が降っていてもレインポンチョですとデイパックやハンドバッグなどを身体に掛けたまま着られて、傘と違ってスーツケースを引いても両手が塞がることがないので安全面でもおすすめです。

 スケジュールを立てる時も、晴天時、雨天時両方の状況を想定しておくといいでしょう。例えばB&Sの集合場所が中正記念堂の自由広場になっていた場合、雨天なら待っている先生、スタッフはずぶ濡れです。そうしたら雨が避けられる国家戯劇院の階段上・屋根の下と変更すればよいわけです。

 集合写真もあらかじめ晴れならどこどこ、雨ならどこどこで撮りますと決めておいたほうがいいです。国立故宮博物院(北部院区)の場合、晴れの日に写真を撮るなら道路に近い牌楼(鳥居のような門)か、本館1階外のテラスで撮ることがほとんどです。雨ならば本館地下1階の孫文像の前で撮るケースもありました(混雑でない時に限ります)。

 

台北101

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 開業当時は世界一のノッポビルだった台北101ですが、すでに世界十何位にまで後退、されど台湾一高いビルであることに変わりはありません。建設には熊谷組が携わり、エレベーターは東芝東京スカイツリーと姉妹タワーということで、日本とも関わりの深いこのビルの展望台が修学旅行の日程に組み込まれることがよくあります。
 
 団体で行くなら大まかな流れは次のようになります。観光バスで101南側正面の信義路で下車。駐車場はないのでバスは遥か彼方に走り去ります。ビルの5階以下はショッピングモールなのでそのモールのエスカレーター(モール開店の11時前あるいは少人数ならエレベーター)で5階まで上がり、ガイドがチケット購入してる間にトイレ休憩。チケットに印刷されている入場番号が来たら展望台行きエレベーターに並びます。入り口に簡単な保安検査がありますが、刃物とかなければ大丈夫でしょう(故宮博物院のように飲食物持ち込みを禁止していません)。写真コーナーを経て2台あるどちらかのエレベーターに案内されます。クラスの半分くらいで分けられると思いますのでガイドさんが先行組と一緒に89階展望台に上がります。そこでは必ず後発組を待ちましょう。全員揃ってからガイドさんあるいは添乗員さんから集合時間、場所の指示があります。もし91階屋外展望デッキが開放(年に何度もありません)の場合はそこも含めた自由時間となります。91階までは階段を上がるのですが降りるとき89を過ぎて88階まで降りてしまううっかりさんがいます。88階へは全員揃ってから一緒に降ります。巨大な球体ウインドダンパーを見て、珊瑚や宝石の販売コーナーを通り過ぎ、下りエレベーターに並びます。ここで全員揃っていないと並ぶことが許されませんので宝石をのんびり見てたり勝手にトイレに行ったりしないようにしましょう。エレベーターでは5階まで下り、行きと逆方向に1階へ下ります。

 101はB&Sプログラムで行くグループも多いです。その場合、入場料の600台湾元は自己負担です(学生料金なし)。大学生の費用を高校生分担になっている場合、ちゃんと彼女ら/彼らの分も払うとはっきり伝えてください。台湾の学生にとって600元は大きいお金です。これを自腹になると誤解されたら行くのを渋られると思いますので。また101は時間のコントロールが難しいスポットでもあります。地下1階に鼎泰豊やフードコートがあるので昼と夕の食事時間前後は展望台エレベーターも混み合うのです。登りはスムースだったとしても下りに1時間並ぶということも起き得ます。ですから101は集合時間の直前にではなく、前の方に行くのがいいでしょう。

十分

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 十分(シーフェン)は九份と並んで人気の台北東郊の観光地です。平渓線というローカル路線の途中駅で単線のこの路線の電車が行き違いできる唯一の駅が十分車站(駅)です。

 ここには十分瀑布という有名な滝もあるのですが、アクセスがやや不便なのでほとんどの団体が駅前商店街での天灯上げのためだけにやってきます。

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 天灯は紙と竹で作られた大きな提灯のようなものです。願い事を書き込み、油を染み込ませた紙を下部にくくりつけ点火、内部の空気をあたため膨らませて空高く打ち上げることができれば書いた願いが叶うとされ、本来は旧暦正月十五日の元宵節に人々の安寧を祈願して打ち上げるものでしたが、今や国内外の観光客が毎日朝から夜まで打ち上げを行っています。小雨でも実行可能ですが、風が強いと中止になる場合もあります。
 
 日本ではなかなかできない体験で、仲間との共同作業で思い出作りにはピッタリのイベントということで修学旅行に取り入れる学校さんが増えています。天灯上げは大きく分けて2種類あります。「一斉打ち上げ」と「個別打ち上げ」です。元宵節イベントで夜空に何十何百の天灯を同時に打ち上げる映像が有名ですがイメージとしては近いです。修学旅行では昼間に上げることが多いです。昼は紙の様々な色が青空に映えてきれいです。一斉の場合は別途割り増し料金を払い、小学校の敷地や駐車場を貸し切り、あらかじめ天灯をすぐ書けるよう用意してもらい、願い事を書き込み終えたら多くのスタッフやボランティアの協力の元、火を点け、合図とともに一斉に打ち上げるというものです。対して個別打ち上げは線路脇にセッティングした天灯に願い事を書き終えた順に線路上で打ち上げるというものです。

 最後に注意とアドバイスを。天灯は4面あります。ですから書くのは4人で1個が基本です。台湾に来る前からグループ分けをしておきましょう。天灯は最初はキャスター付き布団干しのようなスタンドに畳んで吊るしてあります。筆記用具はスタンドに付いている缶に墨汁と一緒に入っている毛筆か、油性ペンです。どの学校さんもスケジュール上、その場でグループ分けしたり書く内容をじっくり考える余裕などありません。書きたい内容はあらかじめ決めておきまず前後2面同時進行で書き進めます。終わったらスタッフに頼み、面を返し左右の面を後の二人が同時進行します。一斉打ち上げならそのまま待機、個別打ち上げなら手を挙げて書き終えたことをスタッフに知らせ打ち上げ場所に行きます。これが平渓線の線路上ということが多いのです。日本ですと線路侵入で写真を撮った日にはどこかの元アイドルのように批判されがちですが、ここ平渓では当たり前の光景です。電車は1時間に上下1本ずつしか来ませんが、電車が商店街を通過する瞬間に立ち会えたらラッキーです。カメラを構えて通過を見届けましょう。電車が近づくと、見張りがホイッスルを鳴らしますので、天灯上げは一時中止です。線路脇に退避してください。電車が行ってしまったら再開です。個別に天灯を打ち上げる時は代表で1台、カメラかスマホをスタッフに預けてください。彼らが打ち上げの全工程を撮影してくれます。たまに4人誰も持ってないということもありますのでクラスメートか先生に撮ってもらいましょう。点火後合図があったらみな同時にパッと手を離してください。一人だけ遅れたりすると、傾いて側面に燃え移り→炎上→墜落→願い事パー。といった事態になりかねません。風が強い日はよその天灯が燃えた状態で落下してくることがあるので、周囲に気を配りましょう。墨を使う場合、手に付いたものは洗面所で洗い流せますが、制服につくと厄介なので気をつけてください。打ち上げ終了後自由行動になったら、手を洗う、ミニチュア天灯を買うなどします。ミニチュア天灯はあらかじめおめでたい言葉が何種類も書かれていてお守りになっており、物によってはLEDで光るのもあります。きっと良い旅の記念になることでしょう。

 ※2019年(令和元年)6月追記。

  従来、十分での天灯の打ち上げは、平渓線の線路上で行うのが普通でしたが、今年に入ってから地元警察の取締が厳しくなり、警察の巡回がある時は線路上でなく、線路脇、もしくはお店の裏庭で打ち上げるようになりました。

遵守と融通

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 「遵守(じゅんしゅ)」と「融通」。相反する二つのワードですが、異国での修学旅行を完遂させるためにどちらも非常に大切なことです。

 時間や現地の法律を遵守することは至極当たり前のことです。修学旅行の日程はかなりタイトです。故宮博物院台北101の見学には団体予約の時間が設定されています。この時間につければスムースに入場できますが、遅れれば時間通り到着の団体優先ですから入場も後回しになり余計な待ち時間が発生します。忠列祠の衛兵交代式も毎正時開始ですから逃すと50分くらいロスします。台湾高速鉄道(新幹線)に乗車するなら駅には早めに着くようにしなければならないです。特に学校交流や企業訪問は相手が貴重な時間を割いて受け入れてくれているので遅刻はしないに限ります。特に日本人は時間に厳格というイメージが強いですので、時間に遅れると言うことは日本人全体のイメージを貶めることにもなりかねません。
 台湾の法律やルールは日本とは異なるものもあり、地下鉄などMRT構内/車内での一切の飲食が禁止であるとか、シートベルト未着用は本人が罰金を支払うとか留意しておくべきこともあります。万引きや自転車泥棒が日本でなら謝罪や示談で済むようなことであるかもしれないが、台湾では情状酌量なく刑事事件に発展することも普通です。

 さて、そうはいってもここは外国です。日本国内のようにいかないことも起きえます。観光バスが渋滞や事故に巻き込まれ時間通りに来ていない。食事の提供に異常に時間がかかり午後の日程がずれ込む。講演者がついつい長話して次の日程に響く。皆さん生徒さんや先生方がどんなに気をつけていても相手側のせいで予定が狂うことが実際よく起きているのです。そんな時添乗員や現地スタッフを責めても何も始まりません。ここで大事になって来るのが「融通性」です。台湾国語では「通融(トンロン)」と言います。ひとたびスケジュールに後れが出たとなったら、後ろの行程の優先順位を確認します。アポがある行程、今日ここでしかできない行程を優先。遅い時間でも行ける、翌日以降でも可能なスポットは後回しにする。こうした順番の入れ替え以外に、各スポットの時間の圧縮も考慮します。

 学校交流では実際予定していたスケジュール通りことが進行することが珍しいくらい遅れは恒常的です。バス下車から講堂や体育館など式典会場まで時間がかかる。トイレタイムを想定していないので、生徒が一斉にトイレに駆け込むことで行列、タイムロスになる。記念撮影もなかなか皆が指示に従わないので時間を食う。校長/生徒代表あいさつも通訳が入ると時間が倍ということを想定していない。そんなこんなで皆さんの出し物の時間を短縮してくれと要請されることもあります。ところが日本人はこうした突発的な変更への対処が苦手な方が多いようです。ダンスを1分短くとか、寸劇を後半カットとか言われることもあったのですが、日本側は練習してきたんだからと頑として譲らず、台湾の生徒が出し物を全カットしてお客様である日本側に花を持たせたこともありました。

 日本の生徒さんは「しおり絶対主義」的なところがあり、スケジュールの変更に臨機応変に対応できないことが多いです。ある日の生徒のみでの自由行動でしおりでは18:00台北駅集合になっていたのを諸事情で17:15に繰り上げると、解散時に添乗員の口から知らせ、幹事役の声の大きな先生も「いいかー、17時15分だぞー!」と呼びかけていたのに、1/3ほどのグループが18時ギリギリに着いて、先生に叱られても「しおりに18:00って書いてあるから…」と言い訳していた生徒もいました。

 これから皆さんが出ていく国際社会はこういう突発事項やトラブルの連続が当たり前です。それらを冷静に的確に対処していくことが人材として求められていきます。日本社会も高齢化や人的資源不足、サービスのアウトソーシング増加インフラの老朽化などの要因で、今まで何でも時間通り正確で、間違いの少なかったものが、希望通り事が運ばないことも増えていくでしょう。我々の仕事はトラブルや遅れを防ぐこと、そして起きてしまった問題を解決していくことなのですが、それには皆さんの協力が欠かせません。「なんとかなる」という気持ちの余裕
と、「なんとかする」という問題解決への意思が求められます。