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台湾修学旅行

台湾に修学旅行に行くことなったらゼヒ知っておいていただきたいことを台湾現地からお伝えしていきます

遵守と融通

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 「遵守(じゅんしゅ)」と「融通」。相反する二つのワードですが、異国での修学旅行を完遂させるためにどちらも非常に大切なことです。

 時間や現地の法律を遵守することは至極当たり前のことです。修学旅行の日程はかなりタイトです。故宮博物院台北101の見学には団体予約の時間が設定されています。この時間につければスムースに入場できますが、遅れれば時間通り到着の団体優先ですから入場も後回しになり余計な待ち時間が発生します。忠列祠の衛兵交代式も毎正時開始ですから逃すと50分くらいロスします。台湾高速鉄道(新幹線)に乗車するなら駅には早めに着くようにしなければならないです。特に学校交流や企業訪問は相手が貴重な時間を割いて受け入れてくれているので遅刻はしないに限ります。特に日本人は時間に厳格というイメージが強いですので、時間に遅れると言うことは日本人全体のイメージを貶めることにもなりかねません。
 台湾の法律やルールは日本とは異なるものもあり、地下鉄などMRT構内/車内での一切の飲食が禁止であるとか、シートベルト未着用は本人が罰金を支払うとか留意しておくべきこともあります。万引きや自転車泥棒が日本でなら謝罪や示談で済むようなことであるかもしれないが、台湾では情状酌量なく刑事事件に発展することも普通です。

 さて、そうはいってもここは外国です。日本国内のようにいかないことも起きえます。観光バスが渋滞や事故に巻き込まれ時間通りに来ていない。食事の提供に異常に時間がかかり午後の日程がずれ込む。講演者がついつい長話して次の日程に響く。皆さん生徒さんや先生方がどんなに気をつけていても相手側のせいで予定が狂うことが実際よく起きているのです。そんな時添乗員や現地スタッフを責めても何も始まりません。ここで大事になって来るのが「融通性」です。台湾国語では「通融(トンロン)」と言います。ひとたびスケジュールに後れが出たとなったら、後ろの行程の優先順位を確認します。アポがある行程、今日ここでしかできない行程を優先。遅い時間でも行ける、翌日以降でも可能なスポットは後回しにする。こうした順番の入れ替え以外に、各スポットの時間の圧縮も考慮します。

 学校交流では実際予定していたスケジュール通りことが進行することが珍しいくらい遅れは恒常的です。バス下車から講堂や体育館など式典会場まで時間がかかる。トイレタイムを想定していないので、生徒が一斉にトイレに駆け込むことで行列、タイムロスになる。記念撮影もなかなか皆が指示に従わないので時間を食う。校長/生徒代表あいさつも通訳が入ると時間が倍ということを想定していない。そんなこんなで皆さんの出し物の時間を短縮してくれと要請されることもあります。ところが日本人はこうした突発的な変更への対処が苦手な方が多いようです。ダンスを1分短くとか、寸劇を後半カットとか言われることもあったのですが、日本側は練習してきたんだからと頑として譲らず、台湾の生徒が出し物を全カットしてお客様である日本側に花を持たせたこともありました。

 日本の生徒さんは「しおり絶対主義」的なところがあり、スケジュールの変更に臨機応変に対応できないことが多いです。ある日の生徒のみでの自由行動でしおりでは18:00台北駅集合になっていたのを諸事情で17:15に繰り上げると、解散時に添乗員の口から知らせ、幹事役の声の大きな先生も「いいかー、17時15分だぞー!」と呼びかけていたのに、1/3ほどのグループが18時ギリギリに着いて、先生に叱られても「しおりに18:00って書いてあるから…」と言い訳していた生徒もいました。

 これから皆さんが出ていく国際社会はこういう突発事項やトラブルの連続が当たり前です。それらを冷静に的確に対処していくことが人材として求められていきます。日本社会も高齢化や人的資源不足、サービスのアウトソーシング増加インフラの老朽化などの要因で、今まで何でも時間通り正確で、間違いの少なかったものが、希望通り事が運ばないことも増えていくでしょう。我々の仕事はトラブルや遅れを防ぐこと、そして起きてしまった問題を解決していくことなのですが、それには皆さんの協力が欠かせません。「なんとかなる」という気持ちの余裕
と、「なんとかする」という問題解決への意思が求められます。