台湾旅行ランキングへ

台湾修学旅行

台湾に修学旅行に行くことなったらゼヒ知っておいていただきたいことを台湾現地からお伝えしていきます

十分

f:id:tw_shugaku:20180611215633j:plain

 十分(シーフェン)は九份と並んで人気の台北東郊の観光地です。平渓線というローカル路線の途中駅で単線のこの路線の電車が行き違いできる唯一の駅が十分車站(駅)です。

 ここには十分瀑布という有名な滝もあるのですが、アクセスがやや不便なのでほとんどの団体が駅前商店街での天灯上げのためだけにやってきます。

 f:id:tw_shugaku:20180611220351j:plain

 天灯は紙と竹で作られた大きな提灯のようなものです。願い事を書き込み、油を染み込ませた紙を下部にくくりつけ点火、内部の空気をあたため膨らませて空高く打ち上げることができれば書いた願いが叶うとされ、本来は旧暦正月十五日の元宵節に人々の安寧を祈願して打ち上げるものでしたが、今や国内外の観光客が毎日朝から夜まで打ち上げを行っています。小雨でも実行可能ですが、風が強いと中止になる場合もあります。
 
 日本ではなかなかできない体験で、仲間との共同作業で思い出作りにはピッタリのイベントということで修学旅行に取り入れる学校さんが増えています。天灯上げは大きく分けて2種類あります。「一斉打ち上げ」と「個別打ち上げ」です。元宵節イベントで夜空に何十何百の天灯を同時に打ち上げる映像が有名ですがイメージとしては近いです。修学旅行では昼間に上げることが多いです。昼は紙の様々な色が青空に映えてきれいです。一斉の場合は別途割り増し料金を払い、小学校の敷地や駐車場を貸し切り、あらかじめ天灯をすぐ書けるよう用意してもらい、願い事を書き込み終えたら多くのスタッフやボランティアの協力の元、火を点け、合図とともに一斉に打ち上げるというものです。対して個別打ち上げは線路脇にセッティングした天灯に願い事を書き終えた順に線路上で打ち上げるというものです。

 最後に注意とアドバイスを。天灯は4面あります。ですから書くのは4人で1個が基本です。台湾に来る前からグループ分けをしておきましょう。天灯は最初はキャスター付き布団干しのようなスタンドに畳んで吊るしてあります。筆記用具はスタンドに付いている缶に墨汁と一緒に入っている毛筆か、油性ペンです。どの学校さんもスケジュール上、その場でグループ分けしたり書く内容をじっくり考える余裕などありません。書きたい内容はあらかじめ決めておきまず前後2面同時進行で書き進めます。終わったらスタッフに頼み、面を返し左右の面を後の二人が同時進行します。一斉打ち上げならそのまま待機、個別打ち上げなら手を挙げて書き終えたことをスタッフに知らせ打ち上げ場所に行きます。これが平渓線の線路上ということが多いのです。日本ですと線路侵入で写真を撮った日にはどこかの元アイドルのように批判されがちですが、ここ平渓では当たり前の光景です。電車は1時間に上下1本ずつしか来ませんが、電車が商店街を通過する瞬間に立ち会えたらラッキーです。カメラを構えて通過を見届けましょう。電車が近づくと、見張りがホイッスルを鳴らしますので、天灯上げは一時中止です。線路脇に退避してください。電車が行ってしまったら再開です。個別に天灯を打ち上げる時は代表で1台、カメラかスマホをスタッフに預けてください。彼らが打ち上げの全工程を撮影してくれます。たまに4人誰も持ってないということもありますのでクラスメートか先生に撮ってもらいましょう。点火後合図があったらみな同時にパッと手を離してください。一人だけ遅れたりすると、傾いて側面に燃え移り→炎上→墜落→願い事パー。といった事態になりかねません。風が強い日はよその天灯が燃えた状態で落下してくることがあるので、周囲に気を配りましょう。墨を使う場合、手に付いたものは洗面所で洗い流せますが、制服につくと厄介なので気をつけてください。打ち上げ終了後自由行動になったら、手を洗う、ミニチュア天灯を買うなどします。ミニチュア天灯はあらかじめおめでたい言葉が何種類も書かれていてお守りになっており、物によってはLEDで光るのもあります。きっと良い旅の記念になることでしょう。

 ※2019年(令和元年)6月追記。

  従来、十分での天灯の打ち上げは、平渓線の線路上で行うのが普通でしたが、今年に入ってから地元警察の取締が厳しくなり、警察の巡回がある時は線路上でなく、線路脇、もしくはお店の裏庭で打ち上げるようになりました。

遵守と融通

f:id:tw_shugaku:20180610121113j:plain

 「遵守(じゅんしゅ)」と「融通」。相反する二つのワードですが、異国での修学旅行を完遂させるためにどちらも非常に大切なことです。

 時間や現地の法律を遵守することは至極当たり前のことです。修学旅行の日程はかなりタイトです。故宮博物院台北101の見学には団体予約の時間が設定されています。この時間につければスムースに入場できますが、遅れれば時間通り到着の団体優先ですから入場も後回しになり余計な待ち時間が発生します。忠列祠の衛兵交代式も毎正時開始ですから逃すと50分くらいロスします。台湾高速鉄道(新幹線)に乗車するなら駅には早めに着くようにしなければならないです。特に学校交流や企業訪問は相手が貴重な時間を割いて受け入れてくれているので遅刻はしないに限ります。特に日本人は時間に厳格というイメージが強いですので、時間に遅れると言うことは日本人全体のイメージを貶めることにもなりかねません。
 台湾の法律やルールは日本とは異なるものもあり、地下鉄などMRT構内/車内での一切の飲食が禁止であるとか、シートベルト未着用は本人が罰金を支払うとか留意しておくべきこともあります。万引きや自転車泥棒が日本でなら謝罪や示談で済むようなことであるかもしれないが、台湾では情状酌量なく刑事事件に発展することも普通です。

 さて、そうはいってもここは外国です。日本国内のようにいかないことも起きえます。観光バスが渋滞や事故に巻き込まれ時間通りに来ていない。食事の提供に異常に時間がかかり午後の日程がずれ込む。講演者がついつい長話して次の日程に響く。皆さん生徒さんや先生方がどんなに気をつけていても相手側のせいで予定が狂うことが実際よく起きているのです。そんな時添乗員や現地スタッフを責めても何も始まりません。ここで大事になって来るのが「融通性」です。台湾国語では「通融(トンロン)」と言います。ひとたびスケジュールに後れが出たとなったら、後ろの行程の優先順位を確認します。アポがある行程、今日ここでしかできない行程を優先。遅い時間でも行ける、翌日以降でも可能なスポットは後回しにする。こうした順番の入れ替え以外に、各スポットの時間の圧縮も考慮します。

 学校交流では実際予定していたスケジュール通りことが進行することが珍しいくらい遅れは恒常的です。バス下車から講堂や体育館など式典会場まで時間がかかる。トイレタイムを想定していないので、生徒が一斉にトイレに駆け込むことで行列、タイムロスになる。記念撮影もなかなか皆が指示に従わないので時間を食う。校長/生徒代表あいさつも通訳が入ると時間が倍ということを想定していない。そんなこんなで皆さんの出し物の時間を短縮してくれと要請されることもあります。ところが日本人はこうした突発的な変更への対処が苦手な方が多いようです。ダンスを1分短くとか、寸劇を後半カットとか言われることもあったのですが、日本側は練習してきたんだからと頑として譲らず、台湾の生徒が出し物を全カットしてお客様である日本側に花を持たせたこともありました。

 日本の生徒さんは「しおり絶対主義」的なところがあり、スケジュールの変更に臨機応変に対応できないことが多いです。ある日の生徒のみでの自由行動でしおりでは18:00台北駅集合になっていたのを諸事情で17:15に繰り上げると、解散時に添乗員の口から知らせ、幹事役の声の大きな先生も「いいかー、17時15分だぞー!」と呼びかけていたのに、1/3ほどのグループが18時ギリギリに着いて、先生に叱られても「しおりに18:00って書いてあるから…」と言い訳していた生徒もいました。

 これから皆さんが出ていく国際社会はこういう突発事項やトラブルの連続が当たり前です。それらを冷静に的確に対処していくことが人材として求められていきます。日本社会も高齢化や人的資源不足、サービスのアウトソーシング増加インフラの老朽化などの要因で、今まで何でも時間通り正確で、間違いの少なかったものが、希望通り事が運ばないことも増えていくでしょう。我々の仕事はトラブルや遅れを防ぐこと、そして起きてしまった問題を解決していくことなのですが、それには皆さんの協力が欠かせません。「なんとかなる」という気持ちの余裕
と、「なんとかする」という問題解決への意思が求められます。

カメラマナー

f:id:tw_shugaku:20180523234524j:plain

 もし外国人観光客があなたの学校前であなたたちが登下校してる姿を面白がりながらスマホでバシバシ撮ってたらどう感じるでしょう?きっと不愉快な気持ちになるんじゃないでしょうか。ましてあなたが女子でスマホを持っているのがニヤついてる男性でしかも地面に近い所からのアングルだったとしたらそれこそ通報ものでしょう。

 台湾には「己所不欲,勿施於人」ということわざがあります。「人にされて嫌なことは人にするな」という意味です。同じようなことを台湾でしないよう心掛けたいものです。

 外国に行くと気が大きくなるのか、日本人以外に人権がないと思っているのか、バシャバシャ台湾の人々を許可なく写真を撮る人が年代問わずけっこういます。バスでガイドさんが説明しているところをいきなり撮影。店の人にも声もかけずいきなりカメラを向ける。お寺で仏像を真正面から撮るだけでなく拝んでいる人まで至近距離でパシャ!どれもマナー違反の恥ずかしい行為です。しかもその写真を勝手にSNSにアップロードする。台湾人同士でも肖像権侵害で裁判沙汰になることもあるというのに!

 人物の写真を取る時は必ず被写体の許可を取ること。撮った写真をブログやフェイスブック、インスタグラムに載せたい時は必ずそのことも伝えて許可を得ること。九份や夜市など不特定多数の人間が映り込む場合はアップする前に顔をぼかすなど加工すること。日本でも常識になっているはずのことが外国にくると忘れてしまうんでしょうか?忠烈祠に来ていた幼稚園児の集団を「かわいーー」と言いながらバシャバシャ撮ってた日本人カメラ女子たち(もういい大人です)。幼稚園の先生たちがジェスチャーで制止、英語で抗議したのにわかってなかったみたいです。

 学校交流ではお互い撮った写真がホームページや卒業アルバム、広報誌などに転載される場合がありますので念のため先生同士でも確認されたほうがいいでしょう。

 忠列祠の衛兵は写真を撮っていいというようになっていますが、ルールもあります。まずフラッシュ禁止。赤テープで囲っている場合は手も自撮り棒もその線を超えてはならないといったことです。また撮った衛兵さんを「SNOW」など画像加工アプリで動物の耳を付けるなどは絶対厳禁です。これは実際発覚すると軍当局から厳重注意と画像の削除指示が来ますので、衛兵交替式見学予定のある学校さんの先生方は出発前の説明会で充分注意を呼びかけておいてください。

 故宮博物院でも展示物のほとんどが撮影OKになっていますが、やはりフラッシュ禁止。絵画の一部は撮影禁止ですので守りましょう。

通訳さん

 f:id:tw_shugaku:20180523090218j:plain

 修学旅行の日程で通訳のお世話になるのは学校交流とか講演、あと工場/施設見学の時です。

 この地味であまり注目されない仕事ですが、非常に重要な役割を担っているのにもかかわらず、過小評価されたり、忘れられたりすることもあります。

 まず台湾は厳然として外国です。日本語が通じない。みなさんも台湾国語(中国語)が通じない。英語に力を入れてらっしゃる学校さんならお互い英語でコミュニケーションすればいいです。しかし英語では難しいという場合は通訳が必要です。交流校に日本語が話せる先生がいればありがたいですが、その方が唯一の通訳だとものすごい負担になります。食事もできず、トイレにも行けないくらい。日本側あるいは台湾側に日台ハーフの生徒がいる場合も頼り切るのはちょっとかわいそうです。生徒代表挨拶を直接やってもらったり校長挨拶の通訳で活躍することもあります。現地ガイドに一切合切任せる学校さんもありますが、契約上、ガイド以外に通訳は別料金がかかるので、大抵一人選んで式典の通訳、先生同士の交流(食事会や構内案内)をしてもらうことになります。いくつかの教室に別れてDIY体験(工芸や料理など)する場合はガイドたちがそれぞれ一つずつ教室を受け持って通訳する場合もあります。気をつけていただきたいのはガイドたちは日本語が上手といっても、通訳はやはり別仕事だということです。ガイドは台湾の森羅万象を解説するには長けていますが、通訳の訓練を受けているとは限りません。通訳の仕事を軽んじているところほどガイドや現地日本語教師に無料仕事を強要しがちです。まず休みなく訳していく同時通訳や会議通訳は専門的訓練を経てはじめてなれるものです。挨拶文はその場で訳していると勘違いしている人が多いですが、ほとんどの場合、事前に原稿を渡し、「翻訳」する余裕を与えているものです。以前こんなケースがありました。事前に原稿もなく話者はいきなり休みなく5分くらい一気に早口で挨拶し、通訳はメモを取る暇もなし。そして話し終わったら「さあ、訳せ」といった態度。冒頭からゆっくり一節一節話し直してもらうしかないです。ですからガイドに通訳を頼むのは高度、専門的でない簡単なものに限られます。最もスマートな選択は専門通訳者を依頼することです。できれば「司会」ができる人がベター。両校ともこの「司会」をおろそかにして式の流れがグダグダになってしまいがちなのですが、司会もできる通訳者がくると、中立的な立場で両校の間を取り持ってくれます。盛り上がるべきところでは「拍手!」コールしたり、プレゼントや出し物もうまく興味を持ってもらえるよう紹介してから、「素晴らしい〜でしたね」などと感想を言ってくれたり。式典の後も先生同士の交流、学校案内、生徒の交流活動の見廻りにも専門通訳者はフル活動してくれることでしょう。

 余談ですが、台湾籍通訳者が訳せないものもあります。まず日本人の方言です。日本語学習者は標準語で日本語を習っています。話者が関西弁や博多弁で話されると「?」と思考停止してしまいます。こんな話しがあります。ある大阪の方が台湾人ガイドに書類の束を渡しながら「これ、ほかしといて」と言ったところ、ずっと律儀に「保管」していたといいます。そしてもう一つ。日本側の先生や生徒が中国語でのスピーチに挑戦したはいいが、全てカタカナの棒読みで台湾側の誰一人意味が聞き取れず、通訳にアイコンタクトで助けを求めるも、通訳にも一語も聞き取れなかったというある意味「事件」いえ「伝説」となったケースもありました。

日本からの忘れ物

f:id:tw_shugaku:20180517114708j:plain

 台湾に到着してから、持ってくるのを忘れて困る物がいくつかあります。

 大きく二分されますが、忘れても「なんとかなる」物と「どうにもならない」物となります。「なんとかなる」は台湾現地で調達できたり友達や先生から借りればとりあえずしのげる物です。例えば学校訪問で制服着用なのにブラウスやワイシャツを忘れた。着替え用にもう一着持って来ている同サイズの人がいれば頼むしかないですね。筆記用具やUSBケーブルなんかはコンビニで買えます。「どうにもならない」物品はその個人専用の物、例えば名刺、メガネ/コンタクトレンズ、常用の薬といった物です。特に持病で毎日特定の薬が欠かせない方はパスポートの次に用意/パッキングしてください。メガネも忘れないことはもちろん、持って来た後もなくさないよう壊さないよう是非ご注意を。

 最近、学校訪問に関する忘れ物が増えています。生徒一人一人につけさせるはずだった(首からぶら下げる)IDホルダーを忘れたことに訪問当日朝に気付かれた学校さんがありました。文具店は10時とか11時でないと開きません。せめて前日に気づいてほしかったです(当日白ガムテープと油性ペンで対応したそうです)。出し物で使う衣装やカツラなど小道具を忘れたというのも気づいた時点で挽回できる/できないが別れます。前日ならダイソーとか東急ハンズ(台湾での呼称はHands手創館)など台湾にもある店に駆け込み対処できる場合もあります。同業他社さんに聞いた話では、学校訪問で相手校生徒からは日本の生徒一人一人にしっかり御土産をいただいたのに、日本側は全員「手ぶら」で来ていたという首をかしげたくなる痛恨事態も起きています。しかも先生方が忘れたことを旅行会社に責任転嫁したともいいます。相手の家や学校に招かれて訪れるのにお土産の一つも持って行くというのが国内外問わず常識と思うのですが、日程表にお土産交換と書いてあれば自分達で用意しておくべきだとわかるはず…と期待するのもはばかられるのが今の日本社会なのでしょうか。ともかく非礼は正さねばなりません。前日までに気付かれたなら、日系のお店で調達する。間に合わなければまずは当日手ぶらの非礼を詫び、後日郵送することを約束するのです。それならペアでホスト役になった台湾側生徒一人一人に宛てて感謝のメッセージも添えられます。

台湾のトイレ

f:id:tw_shugaku:20180504085009j:plain

 【写真は国立故宮博物院北部院区のトイレ】

 やはり外国に行くとなると現地のトイレがどんな感じか気になりますよね。ここでは日本とはやや異なる台湾のトイレ事情について述べていきます。

 まずみなさんが台湾の空港に降り立ちます。現地スタッフに会うまでに空港のトイレを使うことになるでしょう。ここでは「ちょっと行きたいけどまだ我慢できるや」なんて思わず是非トイレに行っておきましょう。桃園や高雄の空港は市街地からだいぶ離れたところにあり、途中サービスエリアはありません。またバスに車内トイレはついておりません(バスの仕様として個室のようなものがありますが便器はなく大抵清掃用具置き場になっています)。空港のトイレは大体どこの国もそうですがきれいなはずです。トイレットペーパーもついています。さて、このトイレットペーパーが問題となるのですね、台湾では。一応水に溶けることになってはいますが、水道管の問題で台湾では永らく便器に一切紙を捨ててはいけないことになっていました。

 台湾のトイレで使用される下水道への水道管は日本のものより細く(物資が乏しかった時代の後遺症)、上水道の水圧も弱めで、タンクから流す水も勢いが弱いせいで、排泄物は流れても紙がすぐに詰まってしまいます。そこで紙は個室備え付けのくずかごに捨てるルールができあがったのです。ただそうすると拭いた紙が利用者のすぐ横にあるため、蝿や臭いといった副次的な問題まで派生して特に外国人旅行客には不評でした。そこで空港や駅などの公共施設、ホテルではトイレットペーパーは〈少量ならば〉便器に流しても良いという趨勢になってきています。台北101台湾高速鉄道(新幹線)といった2000年以降の建築物は水道管や水圧の問題をクリアしており問題はほぼありません。しかし古い建物のホテルやレストラン、特に日本統治時代の遺構を使用した施設は未だにトイレットペーパーは詰まりやすいのでくずかごに捨てるよう推奨しています。トイレに入ったら個室内に貼ってある表示を確認しましょう。中国語と図でトイレットペーパーを便器に捨てていいかどうか書いてあることが多いです。観光客が多いところでは中国語、英語、日本語、ハングルといった多言語表示も増えています。

 ホテルの部屋では同室者がいるので拭いた紙をくずかごへは抵抗がある方がほとんどでしょう。添乗員やガイドはこのホテルで紙を流せますと言ったとしても紙の使用量には個人差があります。ですから部屋に入ったらまずカラで水洗レバー(ボタン)を押して水流の勢いを確認してください。日本と同じくらいの勢いであれば普通に流せるでしょう。もし水流が頼りないくらい弱ければ紙が多いとすぐに詰まる危険性があります。

 どれだけトイレットペーパーを使用したのかわかりませんが、一回でも詰まりを発生させた場合、そのホテル利用の団体さんには一律トイレットペーパーを便器に捨てないようアナウンスされます。

 桃園国際空港から最も近いホテル併設レストランは、到着早々食事をとることが多いのですが、とある高校さんは女子・男子両方のトイレ個室全てを詰まらせ、予想を大幅に遅れて出発となるトラブルもありました。以後、このレストラン利用の日程では空港を出ますと現地スタッフは挨拶もそこそこに台湾のトイレの使い方を優先的かつ重点的に説明することになったそうです。

 

 

忘れ物

f:id:tw_shugaku:20180428152251j:plain

 今回は忘れ物の話です。
 もうこれはどんな団体さんでも回避不可能と言ってよいくらい起きるトラブルです。若くて海外初めてだからとか高齢で記憶力が衰えているからとか関係なく誰の身にも起き得ます。
 ただこれだけは覚えていてほしいのです。バスやレストランの席をたつ瞬間、ホテルの部屋を出る時。ちょっと後ろを振り返ってチェックする。数秒でできることです。そしてそれを怠り、忘れ物した時の対応にかかる時間と労力と費用を天秤にかけてみてください。

 ある方は台北でパスポートを高雄のホテルに忘れたことに気が付きました。翌朝帰国です。この日も見学の日程です。あいにくこの日高雄から北上してくる他団体もいません。仕方なく内勤スタッフが高鉄(台湾新幹線)で往復し、高雄のホテルに出向き、ほとんど一日がかりで取り戻しました。もちろん紛失した御本人には数万円の実費請求をさせていただきました。

 ホテルの部屋で多い忘れ物はセーフティボックスの中の貴重品、デスク下の充電器、クローゼットの上着といったものです。修学旅行で何百人という団体にもなれば、毎回10件ほどの忘れ物が出てきます。これがもし台南のホテルで、すでにみな台北にいる場合はどうなるのでしょう?間に合うようなら特急便で台北の宿所まで着払いで送ってもらい、忘れ物の持ち主同士で費用分担します。中には学校さんが予備費から支払う場合、添乗員が一時立替し、セカンドインボイスで帰国後学校さん側に追加請求という場合もあるようです。こういうと忘れ物をしなかった生徒さんなんかは面白くないですね。自分は何ら過失がないのにウッカリ者のクラスメートのために余分な費用が使われてしまうのですから。

 特に気をつけていただきたいのが最終日のチェックアウト後のホテルの忘れ物。あるいは最後の食事会場の忘れ物。これは気づいても手遅れということがほとんどです。日本まで送ってくれというリクエストもあるにはありますが、空運の費用(プラス台湾国内の運送費用)をお伝えしますと、忘れ物がシャツとか買ったお土産、充電ケーブルなどの場合、諦める場合がほとんどです。その物の値段を明らかに上回る輸送費など誰も払わないからです。しかしそうもいかない物品もあります。制服、財布、デジタルカメラスマートフォンといったものです。時間も費用もかかりますが国際輸送してもらうしかありません。そしてデジタル製品はリチウム電池内蔵の場合、国際輸送不可ということもあります。同じ添乗員さんがまた近々台湾に添乗で来てくれるならその方に託すのが現実的です。

グループ分け

 f:id:tw_shugaku:20180420004845j:plain

 故宮博物院などの施設の見学は基本、クラスあるいは号車ごととなることがほとんどです。そして日程の中ではさらに細分化されたグループ行動も少なくありません。体験コースに分かれる時、B&Sで自由行動する時だけのグループもあるでしょう。
 
 現地校訪問でも10人前後の班に分かれて体験授業に参加したり、ディスカッション、共同創作、部活交流などもあります。その際混乱するのが、日本語と台湾国語では「組」と「班」があべこべになることです。日本語で「3年A組の2班」は台湾国語で「3年A班2組」です。到着すると現地校のボランティアの生徒がプラカードを持って先導してくれるのですが、周知が徹底していないと生徒がどこに着いて行ったらいいのかわからなくなります。できれば日本語表記そのままで、現地校生徒に「班は組の下」と周知してもらっていたほうがスムーズでしょう。

 グループ分けはまだあります。九份などでの自由行動時は単独行動禁止の学校さんが圧倒的多数です。それから十分での天灯上げは基本4人一組(書く面が4面あるため)です。こういったグループ分けは事前に決めておいてしおりに記載していたほうが混乱せずにすみます。

 ただバスやレストランの席割は事前に決めておいても、バスシートの配列がバスごとに違ったり、レストランのテーブル人数が店ごとに違ってくるので(これを統一しろと台湾側に要求するのは無理難題レベルです)、このへんは臨機応変に座っていただくしかありません。

 最近、一番現地スタッフ(レストラン、ガイド、受け入れ施設スタッフなど)を悩ませ苛つかせているのが「仲良しグループ」問題です(特に女子)。これはどういうことかというと、普段の教室内の仲良しのグループが、台湾のレストランや見学施設などで席が離れ離れにならざるを得なくなった状況下で、むくれるぐらいならまだしも、泣いて抗議したり、8人掛けの席に無理やり9人、10人と割り込んだりしてくる珍現象(ほぼ女子のみ)です。台湾ではまず見られないこうした事象に現地人たちは大変困惑します。中には「社交性ゼロか!」「閉鎖社会の皺寄せだね」と揶揄されることも。円卓料理は店側が隣とくっつき過ぎないよう快適な食事ができるようテーブルごとに定員を設定しています。そこへ急に人数が変わると、椅子を入れ、食器を追加し、豚の角煮など個数が決まっている料理はテーブル間で数量調整するなど手間がかかってしまいます。そこまでやらせて仲良しグループ同士で盛り上がりたいのでしょうか。食事の一時間だけですら普段話したことのないクラスメートが隣に座ることが耐えられないのでしょうか。こうした傾向は私立の学校さんに比較的多く見られるということです。先生方もこうしたクラスメート同士の個人的人間関係には頭を悩まされることと思いますが、公式行事である修学旅行を完遂させるためにも、最適なグループ分けか、私より公を優先させるよう生徒を説得するかしておいていただけましたら、現地スタッフとして幸いでございます。