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台湾修学旅行

台湾に修学旅行に行くことなったらゼヒ知っておいていただきたいことを台湾現地からお伝えしていきます

通訳さん

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 修学旅行の日程で通訳のお世話になるのは学校交流とか講演、あと工場/施設見学の時です。

 この地味であまり注目されない仕事ですが、非常に重要な役割を担っているのにもかかわらず、過小評価されたり、忘れられたりすることもあります。

 まず台湾は厳然として外国です。日本語が通じない。みなさんも台湾国語(中国語)が通じない。英語に力を入れてらっしゃる学校さんならお互い英語でコミュニケーションすればいいです。しかし英語では難しいという場合は通訳が必要です。交流校に日本語が話せる先生がいればありがたいですが、その方が唯一の通訳だとものすごい負担になります。食事もできず、トイレにも行けないくらい。日本側あるいは台湾側に日台ハーフの生徒がいる場合も頼り切るのはちょっとかわいそうです。生徒代表挨拶を直接やってもらったり校長挨拶の通訳で活躍することもあります。現地ガイドに一切合切任せる学校さんもありますが、契約上、ガイド以外に通訳は別料金がかかるので、大抵一人選んで式典の通訳、先生同士の交流(食事会や構内案内)をしてもらうことになります。いくつかの教室に別れてDIY体験(工芸や料理など)する場合はガイドたちがそれぞれ一つずつ教室を受け持って通訳する場合もあります。気をつけていただきたいのはガイドたちは日本語が上手といっても、通訳はやはり別仕事だということです。ガイドは台湾の森羅万象を解説するには長けていますが、通訳の訓練を受けているとは限りません。通訳の仕事を軽んじているところほどガイドや現地日本語教師に無料仕事を強要しがちです。まず休みなく訳していく同時通訳や会議通訳は専門的訓練を経てはじめてなれるものです。挨拶文はその場で訳していると勘違いしている人が多いですが、ほとんどの場合、事前に原稿を渡し、「翻訳」する余裕を与えているものです。以前こんなケースがありました。事前に原稿もなく話者はいきなり休みなく5分くらい一気に早口で挨拶し、通訳はメモを取る暇もなし。そして話し終わったら「さあ、訳せ」といった態度。冒頭からゆっくり一節一節話し直してもらうしかないです。ですからガイドに通訳を頼むのは高度、専門的でない簡単なものに限られます。最もスマートな選択は専門通訳者を依頼することです。できれば「司会」ができる人がベター。両校ともこの「司会」をおろそかにして式の流れがグダグダになってしまいがちなのですが、司会もできる通訳者がくると、中立的な立場で両校の間を取り持ってくれます。盛り上がるべきところでは「拍手!」コールしたり、プレゼントや出し物もうまく興味を持ってもらえるよう紹介してから、「素晴らしい〜でしたね」などと感想を言ってくれたり。式典の後も先生同士の交流、学校案内、生徒の交流活動の見廻りにも専門通訳者はフル活動してくれることでしょう。

 余談ですが、台湾籍通訳者が訳せないものもあります。まず日本人の方言です。日本語学習者は標準語で日本語を習っています。話者が関西弁や博多弁で話されると「?」と思考停止してしまいます。こんな話しがあります。ある大阪の方が台湾人ガイドに書類の束を渡しながら「これ、ほかしといて」と言ったところ、ずっと律儀に「保管」していたといいます。そしてもう一つ。日本側の先生や生徒が中国語でのスピーチに挑戦したはいいが、全てカタカナの棒読みで台湾側の誰一人意味が聞き取れず、通訳にアイコンタクトで助けを求めるも、通訳にも一語も聞き取れなかったというある意味「事件」いえ「伝説」となったケースもありました。

日本からの忘れ物

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 台湾に到着してから、持ってくるのを忘れて困る物がいくつかあります。

 大きく二分されますが、忘れても「なんとかなる」物と「どうにもならない」物となります。「なんとかなる」は台湾現地で調達できたり友達や先生から借りればとりあえずしのげる物です。例えば学校訪問で制服着用なのにブラウスやワイシャツを忘れた。着替え用にもう一着持って来ている同サイズの人がいれば頼むしかないですね。筆記用具やUSBケーブルなんかはコンビニで買えます。「どうにもならない」物品はその個人専用の物、例えば名刺、メガネ/コンタクトレンズ、常用の薬といった物です。特に持病で毎日特定の薬が欠かせない方はパスポートの次に用意/パッキングしてください。メガネも忘れないことはもちろん、持って来た後もなくさないよう壊さないよう是非ご注意を。

 最近、学校訪問に関する忘れ物が増えています。生徒一人一人につけさせるはずだった(首からぶら下げる)IDホルダーを忘れたことに訪問当日朝に気付かれた学校さんがありました。文具店は10時とか11時でないと開きません。せめて前日に気づいてほしかったです(当日白ガムテープと油性ペンで対応したそうです)。出し物で使う衣装やカツラなど小道具を忘れたというのも気づいた時点で挽回できる/できないが別れます。前日ならダイソーとか東急ハンズ(台湾での呼称はHands手創館)など台湾にもある店に駆け込み対処できる場合もあります。同業他社さんに聞いた話では、学校訪問で相手校生徒からは日本の生徒一人一人にしっかり御土産をいただいたのに、日本側は全員「手ぶら」で来ていたという首をかしげたくなる痛恨事態も起きています。しかも先生方が忘れたことを旅行会社に責任転嫁したともいいます。相手の家や学校に招かれて訪れるのにお土産の一つも持って行くというのが国内外問わず常識と思うのですが、日程表にお土産交換と書いてあれば自分達で用意しておくべきだとわかるはず…と期待するのもはばかられるのが今の日本社会なのでしょうか。ともかく非礼は正さねばなりません。前日までに気付かれたなら、日系のお店で調達する。間に合わなければまずは当日手ぶらの非礼を詫び、後日郵送することを約束するのです。それならペアでホスト役になった台湾側生徒一人一人に宛てて感謝のメッセージも添えられます。

台湾のトイレ

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 【写真は国立故宮博物院北部院区のトイレ】

 やはり外国に行くとなると現地のトイレがどんな感じか気になりますよね。ここでは日本とはやや異なる台湾のトイレ事情について述べていきます。

 まずみなさんが台湾の空港に降り立ちます。現地スタッフに会うまでに空港のトイレを使うことになるでしょう。ここでは「ちょっと行きたいけどまだ我慢できるや」なんて思わず是非トイレに行っておきましょう。桃園や高雄の空港は市街地からだいぶ離れたところにあり、途中サービスエリアはありません。またバスに車内トイレはついておりません(バスの仕様として個室のようなものがありますが便器はなく大抵清掃用具置き場になっています)。空港のトイレは大体どこの国もそうですがきれいなはずです。トイレットペーパーもついています。さて、このトイレットペーパーが問題となるのですね、台湾では。一応水に溶けることになってはいますが、水道管の問題で台湾では永らく便器に一切紙を捨ててはいけないことになっていました。

 台湾のトイレで使用される下水道への水道管は日本のものより細く(物資が乏しかった時代の後遺症)、上水道の水圧も弱めで、タンクから流す水も勢いが弱いせいで、排泄物は流れても紙がすぐに詰まってしまいます。そこで紙は個室備え付けのくずかごに捨てるルールができあがったのです。ただそうすると拭いた紙が利用者のすぐ横にあるため、蝿や臭いといった副次的な問題まで派生して特に外国人旅行客には不評でした。そこで空港や駅などの公共施設、ホテルではトイレットペーパーは〈少量ならば〉便器に流しても良いという趨勢になってきています。台北101台湾高速鉄道(新幹線)といった2000年以降の建築物は水道管や水圧の問題をクリアしており問題はほぼありません。しかし古い建物のホテルやレストラン、特に日本統治時代の遺構を使用した施設は未だにトイレットペーパーは詰まりやすいのでくずかごに捨てるよう推奨しています。トイレに入ったら個室内に貼ってある表示を確認しましょう。中国語と図でトイレットペーパーを便器に捨てていいかどうか書いてあることが多いです。観光客が多いところでは中国語、英語、日本語、ハングルといった多言語表示も増えています。

 ホテルの部屋では同室者がいるので拭いた紙をくずかごへは抵抗がある方がほとんどでしょう。添乗員やガイドはこのホテルで紙を流せますと言ったとしても紙の使用量には個人差があります。ですから部屋に入ったらまずカラで水洗レバー(ボタン)を押して水流の勢いを確認してください。日本と同じくらいの勢いであれば普通に流せるでしょう。もし水流が頼りないくらい弱ければ紙が多いとすぐに詰まる危険性があります。

 どれだけトイレットペーパーを使用したのかわかりませんが、一回でも詰まりを発生させた場合、そのホテル利用の団体さんには一律トイレットペーパーを便器に捨てないようアナウンスされます。

 桃園国際空港から最も近いホテル併設レストランは、到着早々食事をとることが多いのですが、とある高校さんは女子・男子両方のトイレ個室全てを詰まらせ、予想を大幅に遅れて出発となるトラブルもありました。以後、このレストラン利用の日程では空港を出ますと現地スタッフは挨拶もそこそこに台湾のトイレの使い方を優先的かつ重点的に説明することになったそうです。

 

 

忘れ物

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 今回は忘れ物の話です。
 もうこれはどんな団体さんでも回避不可能と言ってよいくらい起きるトラブルです。若くて海外初めてだからとか高齢で記憶力が衰えているからとか関係なく誰の身にも起き得ます。
 ただこれだけは覚えていてほしいのです。バスやレストランの席をたつ瞬間、ホテルの部屋を出る時。ちょっと後ろを振り返ってチェックする。数秒でできることです。そしてそれを怠り、忘れ物した時の対応にかかる時間と労力と費用を天秤にかけてみてください。

 ある方は台北でパスポートを高雄のホテルに忘れたことに気が付きました。翌朝帰国です。この日も見学の日程です。あいにくこの日高雄から北上してくる他団体もいません。仕方なく内勤スタッフが高鉄(台湾新幹線)で往復し、高雄のホテルに出向き、ほとんど一日がかりで取り戻しました。もちろん紛失した御本人には数万円の実費請求をさせていただきました。

 ホテルの部屋で多い忘れ物はセーフティボックスの中の貴重品、デスク下の充電器、クローゼットの上着といったものです。修学旅行で何百人という団体にもなれば、毎回10件ほどの忘れ物が出てきます。これがもし台南のホテルで、すでにみな台北にいる場合はどうなるのでしょう?間に合うようなら特急便で台北の宿所まで着払いで送ってもらい、忘れ物の持ち主同士で費用分担します。中には学校さんが予備費から支払う場合、添乗員が一時立替し、セカンドインボイスで帰国後学校さん側に追加請求という場合もあるようです。こういうと忘れ物をしなかった生徒さんなんかは面白くないですね。自分は何ら過失がないのにウッカリ者のクラスメートのために余分な費用が使われてしまうのですから。

 特に気をつけていただきたいのが最終日のチェックアウト後のホテルの忘れ物。あるいは最後の食事会場の忘れ物。これは気づいても手遅れということがほとんどです。日本まで送ってくれというリクエストもあるにはありますが、空運の費用(プラス台湾国内の運送費用)をお伝えしますと、忘れ物がシャツとか買ったお土産、充電ケーブルなどの場合、諦める場合がほとんどです。その物の値段を明らかに上回る輸送費など誰も払わないからです。しかしそうもいかない物品もあります。制服、財布、デジタルカメラスマートフォンといったものです。時間も費用もかかりますが国際輸送してもらうしかありません。そしてデジタル製品はリチウム電池内蔵の場合、国際輸送不可ということもあります。同じ添乗員さんがまた近々台湾に添乗で来てくれるならその方に託すのが現実的です。

グループ分け

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 故宮博物院などの施設の見学は基本、クラスあるいは号車ごととなることがほとんどです。そして日程の中ではさらに細分化されたグループ行動も少なくありません。体験コースに分かれる時、B&Sで自由行動する時だけのグループもあるでしょう。
 
 現地校訪問でも10人前後の班に分かれて体験授業に参加したり、ディスカッション、共同創作、部活交流などもあります。その際混乱するのが、日本語と台湾国語では「組」と「班」があべこべになることです。日本語で「3年A組の2班」は台湾国語で「3年A班2組」です。到着すると現地校のボランティアの生徒がプラカードを持って先導してくれるのですが、周知が徹底していないと生徒がどこに着いて行ったらいいのかわからなくなります。できれば日本語表記そのままで、現地校生徒に「班は組の下」と周知してもらっていたほうがスムーズでしょう。

 グループ分けはまだあります。九份などでの自由行動時は単独行動禁止の学校さんが圧倒的多数です。それから十分での天灯上げは基本4人一組(書く面が4面あるため)です。こういったグループ分けは事前に決めておいてしおりに記載していたほうが混乱せずにすみます。

 ただバスやレストランの席割は事前に決めておいても、バスシートの配列がバスごとに違ったり、レストランのテーブル人数が店ごとに違ってくるので(これを統一しろと台湾側に要求するのは無理難題レベルです)、このへんは臨機応変に座っていただくしかありません。

 最近、一番現地スタッフ(レストラン、ガイド、受け入れ施設スタッフなど)を悩ませ苛つかせているのが「仲良しグループ」問題です(特に女子)。これはどういうことかというと、普段の教室内の仲良しのグループが、台湾のレストランや見学施設などで席が離れ離れにならざるを得なくなった状況下で、むくれるぐらいならまだしも、泣いて抗議したり、8人掛けの席に無理やり9人、10人と割り込んだりしてくる珍現象(ほぼ女子のみ)です。台湾ではまず見られないこうした事象に現地人たちは大変困惑します。中には「社交性ゼロか!」「閉鎖社会の皺寄せだね」と揶揄されることも。円卓料理は店側が隣とくっつき過ぎないよう快適な食事ができるようテーブルごとに定員を設定しています。そこへ急に人数が変わると、椅子を入れ、食器を追加し、豚の角煮など個数が決まっている料理はテーブル間で数量調整するなど手間がかかってしまいます。そこまでやらせて仲良しグループ同士で盛り上がりたいのでしょうか。食事の一時間だけですら普段話したことのないクラスメートが隣に座ることが耐えられないのでしょうか。こうした傾向は私立の学校さんに比較的多く見られるということです。先生方もこうしたクラスメート同士の個人的人間関係には頭を悩まされることと思いますが、公式行事である修学旅行を完遂させるためにも、最適なグループ分けか、私より公を優先させるよう生徒を説得するかしておいていただけましたら、現地スタッフとして幸いでございます。

先生の下見

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 修学旅行に先立って学校の先生の代表が事前に台湾に下見に来られることがほとんどです。

 たいてい修学旅行の責任担当者となった先生が修学旅行の前年あるいは秋に実施なら春頃にこれまた旅行社の担当を伴って台湾にやってきます。そして日程は実際の本隊よりも圧縮して、現地ガイド(本隊のチーフガイドになることが多いが必ずしも同じではない)も同行して宿泊先、食事場所はもちろん、観光地や訪問先の学校までほぼ全て訪れます。ホテルでは生徒が泊まるのと同等ルームに宿泊し、レストランでは当日と同じメニューを食し、観光地も実際に入場し歩いてみます。現地の学校では受け入れ担当者とも面会し、当日の流れなど打ち合わせも。

 やはり書面や映像で見るより、実際に見て歩いて食べてみないとわからないことも多いです。なにか不都合な点が見つかればすぐに指摘し、改善や代替案を頼めばいいのです。曖昧なままは当日思わぬトラブルに発展することもありますから、どんな些細なことも詳しく説明してもらい納得されたほうがいいです。どんなことでも当日の変更や追加には多くの困難が伴います。事前におっしゃっていただけたほうが台湾サイドとしてもありがたいのです。

 実際に先生が下見されても掴みにくいことがあります。時間配分です。生徒さんは大勢しかも観光バスで見学・移動します。しかし下見の時は少数しかもセダン、ワゴンで移動です。特に日本の子供は動きが緩慢でバスの乗降、施設の入出場には通常以上に時間がかかるものです。それから本隊が予定しているシーズンが混むかどうか、土日祝祭日かどうか、その時期の営業時間なども確認された上で実際の日程を組まれたほうがいいです。

観光バスとドライバーと荷物車

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 修学旅行の主要な移動手段は観光バスで台湾国語では「遊覧車」(ヨウランチャー)といいます。マイクロバスタイプなら「中巴」(ジョンバー)、大型観光バスタイプなら「大巴」(ダーバー)ともいいます。

 基本は42人以下なら大型観光バスで、10数人ならマイクロバス、学校さんによっては途中で体験コース別に分乗する時だけマイクロバス利用というのもあります。最前列のシートは急ブレーキ時など比較的危険ということで座らないほうがいいです。進行方向右側最前列のマイク真下のシートは基本的にガイドと添乗員席です。ここに座りたがる先生や生徒が多いですが、ここを占拠されてしまうとガイドは運転手隣りに座るしかなくなり、皆さんの顔を見ながら案内してくれなくなります。え?ガイドはずっと最前列の通路で後ろ向きに立って案内するんだから席など要らないだろって?ここは日本ではありません。法律上、ガイドもシートベルトを締める義務があります。事故も日本より多いのでシートベルトは必要不可欠です。郊外や都市間移動は1時間以上のことも。ガイドだって休息は必要です。

 一番大変で休息も必要なのはドライバーさんです。「司機」(スージー)といい、日本語から転化した「運将/運匠」(ウンチャン)という呼称もありますが、日本のように差別語的ニュアンスはありません。とはいえ呼ぶ時は「司機先生」(スージーシェンション)のほうが礼儀正しい感じです。彼らはかなりの過密シフトが組まれており、疲労から来る事故も報道されることがあります。ひどい場合は鬱、睡眠障害、さらには過労死を招くこともある大変な仕事です。そこで近年、政府やバス会社は一日の労働時間を12時間以内に(会社によっては10時間以内)抑えようとしています。短い滞在期間にあれもこれもと日程を詰め込みたい気持ちもわかりますが、ドライバーさんの健康と安全運転のためにも、夜遅い帰着になるようなスケジュールは極力避ける趨勢になってきています。

 あくまで全体的に見た日本との比較ですが、台湾のドライバーさんは気性が激しく、思ったことをストレートに口にする方が多いと思います。ですから長時間運転や日程の変更に対して大声で抗議したり、仲間ドライバーに無線で愚痴ったりもします。それでも任務に忠実にあの台湾の道路をぶつかることなくスイスイと運転して切り抜ける技量は大したものではないでしょうか。彼らが休めるのは皆さんが見学や食事で降りた時のみ。くれぐれも忘れ物だとか買い物だとかで彼らを叩き起こし、情緒不安定にさせないであげてほしいものです。

 車内をゴミだらけにしたり汚すこともドライバーさんが車庫に戻ってから残業を強いる一因となります。きれいに使って、飲食は控え(タピオカミルクティーをこぼすなどは言語道断)、ゴミは持って降りましょう。
 
 修学旅行受け入れの経験が浅い現地旅行会社やバス会社は、1台40人くらいになるとスーツケースが全部収まらないことを認識 していません。別途トラックを手配して荷物車として動かすことになります。さもなければ積み込みがいつまで経っても終わらず、通路にスーツケースが積まれる違法状態になりかねません。荷物車がある場合、通常は空港で、各号車10人ずつくらい荷物をトラックに積み込み、ホテルに先行させ、生徒がホテルに着いたらロビーで受け取りとなります。

故宮博物院

 台北の国立故宮博物院は修学旅行においても定番中の定番見学コースとなっています。

 中国の歴代王朝が受け継いできた皇帝たちの秘宝の数々を自分の目で見られるというのは貴重な体験でしょう。

 しかしながら現地斡旋の側から敢えて申しますれば、故宮博物院は高校生が絶対に行くべき場所かどうかは疑問の残るところでもあります。「他の学校も他のツアーも来てるから」「とりあえず遊びじゃなくて文化的な見学施設なので」「台湾のことを深く学ばせたいし」そういった理由で高校生を連れて来られる学校さんもあります。文化的な見学施設は美術館も観光工場も今各地で雨後の筍状態の○○文創園区もあります。台湾のことを学ばせたかったら、国立台湾博物館、228和平記念館、国立自然科学博物館(台中)、国立台湾歴史博物館(台南)など良い他施設もいっぱいあります。故宮博物院にあるのは台湾のものではなく中国大陸のものばかりです。北京にある故宮博物院台北にもある歴史背景は館内どこを見てもわかりません。ガイドさんが解説してくれることではじめてわかるのです。

 それでもどうしても故宮博物院に行くと決められたら、事前に生徒に周知しておくことがあります。見学当日は制服着用。カバンはリュック、デイパック類を避ける。飲食物はすべて持ち込み禁止。ですからリュックやペットボトル等はすべてバス内に置くこと。館内ではヘッドホンと受信機(レシーバー)を使用するが、紛失・損壊は賠償責任があること、必ずガイドさん(よそのガイドでなく同じ号車のガイド。先生、添乗員も原則不可)に返却すること、撮影は大部分可能だがフラッシュと自撮り棒は使用しない、館内では騒がない、警告を受けても騒ぐ団体は退去を命じられる、といったルールです。

 故宮博物院に見学に行きたいならば最低限こうしたルールを守れる学校さんに限られます。そもそも常識的な行動ができないなら海外に出るべきではありません。今や高校の授業で世界史を履修してから来る生徒さんは非常に少数です。まして中国史に興味ある生徒も少ないでしょう。三国時代はゲーム等を通じて興味ある生徒も少なくないようですが、三国時代の展示品がこれまた少数過ぎてあまり意味がありません。

 生徒さんの興味がない、プラス放任主義の学校さんが故宮博物院に来られると、現地ガイドには悲劇となります。とあるガイドさんに聞いた話では、「開始早々みなヘッドホンを下ろしおしゃべりしてた」「解説中ガイドに着いて来ずバラバラに行動、迷子になる生徒も」「解説が終わりヘッドホンと受信機回収の際、数が揃わない」といったことが複数起こったことがあるようです。ひどいところではヘッドホン受信機回収で数が合わず、生徒が数人いなくなっており、先生に聞いてみてもニヤニヤしながら「途中でバックレちゃった。我々にも手が負えなくてねー」とのたまい、ガイドさんは入り口で30数組の重いヘッドホンと受信機を抱えながら行方不明生徒を探し(全部の数が揃わないと返却完了とならないため)、やっと見つけたと思ったら「添乗員がいたから返しといた!」と言われ、その添乗員に聞いても「なんかよくわかんないけど博物館の人に渡しといたよ♪」とガイドさんにとって地雷発言連発。ガイドさんは怒り心頭で「もう愛知県からの修学旅行は受けない!」と、話を聞いている時も怒りがこみ上げて来たようで、忘れられない悲しい思い出となってしまったようです。

 私自身の修学旅行を振り返ってみますとベタな観光地めぐりで渓谷のなんとか岩とか古刹の謂れとか正直どうでもよかったです。ほとんど記憶にも残っていません。でも今なら自然の中やお寺には大いに興味を持つようになりました。ですから故宮博物院の解説が高校生に退屈なのも理解できますが、退屈だから騒いでいいとかガイドに出身地ぐるみで恨まれるようなことになっていいはずがありません。ほとんどの学校さんが解説の後は自由時間を設けています。それまではどうか我慢してください。一時間もないはずです。ミュージアムショップで買い物もいいでしょう。カフェでタピオカミルクティーを飲むのもいいですね。屋外テラスで各自写真を撮る人もいます。書道部は書のコーナー、美術部
は絵画コーナーを巡る人もいます。一旦外に出てまた中に入りたい人は出口にいるスタッフにリエントリースタンプを手に押してもらいましょう。